
地方から世界への挑戦 —手技の伝承、その原点と進化—
この度、2026年4月4日土曜日、Neurosurgery Kinki 2026 Spring Meetingとして第89回日本脳神経外科学会近畿支部学術集会・第92回近畿脊髄外科研究会を合同開催させていただく運びとなりました。歴史ある本会の会長を拝命し、大変光栄に存じますとともに、その重責に身の引き締まる思いでおります。
本学術集会のテーマは「地方から世界への挑戦」といたしました。医学の進歩において、最先端の分子生物学や大規模臨床試験が重要であることは論をまちません。しかし、私たち脳神経外科医にとっての「原点」は、やはり手術室にあります。世界に通用する医療とは、必ずしも派手な新技術だけで構成されるものではありません。地方の、あるいは地域の市中病院において、日夜繰り返される手術の中にこそ、世界を凌駕する日本の精緻な技術と工夫が息づいていると私は確信しております。
そこで本会では、「手術技術の共有と伝承」に徹底的にこだわりたいと考えております。
具体的には、脳神経外科手術の根幹をなす開頭術と脊椎脊髄手術の原点に立ち返り、教科書には載らない微細な工夫や、術者の「手」が覚えている暗黙知を言語化し、共有する場といたします。華々しい成功例だけでなく、術中のトラブルに直面した際のリカバリー技術、合併症を回避するための危機管理といった「現場のリアル」にも焦点を当てます。こうした泥臭くも極めて重要な知見こそが、患者さんの生命を守る最後の砦となるからです。そこで、副会長として、京都桂病院 脊椎脊髄外科の高山 柄哲先生に学会運営にご尽力いただきます。
また、本会は、「技術の伝承」をもう一つの大きな柱として掲げます。熟練のベテラン術者がどのように若手を指導し、技術を継承していくのか。近畿地区が誇るエキスパートの先生方に、その指導哲学と教育的技術開示をお願いしております。若手医師にとっては、先達の「神髄」に触れ、自身の技術を飛躍させる絶好の機会となるはずです。地方から世界へ羽ばたく次世代の術者を、ここ近畿の地から輩出することこそが、本会の最大のミッションです。
さらに、今回は評議員の先生方による特別企画として、「病院の運営と工夫」に関するセッションを設けます。近畿地区の医療を支える多くの施設は財政的に厳しい状態でありますが、その持続可能な運営は地域医療を守る上で喫緊の課題です。手術技術だけでなく、病院経営や組織運営における現場の工夫、人材確保の戦略など、病院管理者にとっても明日から役立つ実践的な議論の場を提供する予定です。
本会が、脳神経外科手術の深淵なる魅力を再確認し、参加されるすべての皆様にとって、技術と情熱を新たにする場となりますよう、教室員一同、鋭意準備を進めてまいります。「地方から世界へ」。その挑戦は、今日の手術室から始まります。多くの会員の皆様のご演題登録とご参加を、心よりお待ち申し上げております。
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